タンパク質を摂らないとどうなるの?
人間のカラダの20%はタンパク質でできています。カラダを作るものなので、摂らないと当然カラダに大きな影響が出ます。食事をしていない人はおられないと思いますので、不足した場合どういう問題が起こるかということを書いてみたいと思います。
タンパク質不足の初期症状
体内にあるタンパク質は10万種類以上あると言われています。その役割のほとんどはわかっていませんが、大きく分けて7つの役割があります。詳しくは別の記事に掲載しますね。
タンパク質には様々な役割がありますが、不足すると当然タンパク質が担ってきた役割に影響がでます。タンパク質はカラダ(全身)を作っているものなので、当然すべてのカラダの不調の原因に影響します。わかりやすいところでは、次のような影響が出ると言われています。
①筋力の衰え(太りやすくなる、肩こり・腰痛)
②肌の衰え(ハリ、ツヤ、シワ・たるみ・むくみ)
③体調不良(集中力低下、貧血、むくみ、免疫力の低下、下痢などなど)
タンパク質不足は老化症状に近い
わかりやすい症状をみていると老化症状に似たような症状ですね。カラダの衰えは老化に直結します。高齢になっていくと消化や吸収力も弱っていくと言われているので、タンパク質の摂取不足も老化に影響を与えているのかもしれないですね。厚生労働省も2020年版「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、高齢者のフレイル予防の観点から、タンパク質の摂取量の推奨量を引き上げています。
タンパク質を摂れば筋肉は維持できる?
「運動していない人がプロテインを飲んでも太るだけ」で、タンパク質が筋肉以外にも必要ということはおわかりいただけたと思いますが、高齢者が気になるフレイルやサルコペニアの予防にもタンパク質が有効だと言われています。2021年の長崎大学と早稲田大学の共同研究で、下記のような可能性が示唆されました。
高齢女性を対象に、3食のタンパク質の摂取量と骨格筋機能との関係性を調査しました。その結果、夕食で多くのタンパク質を摂取しているヒトに比べて、朝食で多くのタンパク質を摂取しているヒトでは、骨格筋指数※5や握力が高く、1日のタンパク質摂取量に対する朝食でのタンパク質摂取量の比率と骨格筋指数は正の相関を示すことがわかりました(図4)。観察研究であるため因果関係はまだ不明な点がありますが、ヒトでも朝のタンパク質が筋肉量の維持・増加に有効である可能性が示されました。
この実験は60名の被験者ということで、まだまだ明確なエビデンスがあるわけではありませんが、タンパク質を摂ることが、高齢大国日本を支えるのに重要なファクターとなる可能性があるのかもしれないですね。