たんぱく質、「足りてるつもり」が一番危ないんです。
「1日どれくらい摂ればいいんですか?」
これは、KOREDEのお客様から一番よく聞かれる質問のひとつです。テレビや雑誌では「たんぱく質を摂りましょう」と繰り返し言われているのに、具体的な量は意外と知られていない。
結論から書くと、成人女性で1日57〜88g、成人男性で75〜115gが目安です(活動量レベルIの場合、厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」より)。
でも、この数字を見てピンと来ますか?
「鶏むね肉100gで約23g」と言われれば、なんとなくイメージはつく。でも、自分が毎日何gのたんぱく質を摂っているのか、正確に答えられる人はかなり少ないんじゃないかなぁと思います。
この記事では、年齢・性別・活動量別の必要量を整理した上で、「じゃあ実際にどう摂ればいいのか」という配分の考え方、そして「なぜ朝が一番大事なのか」まで、できるだけ実用的にまとめました。
1日のたんぱく質必要量(年齢・性別・活動量別)
まず、基本の数字から。
厚生労働省が5年ごとに改定している「日本人の食事摂取基準」では、年齢・性別・身体活動レベルごとにたんぱく質の目標量が示されています。
身体活動レベルは、こう分類されます。
- レベル I(低い): 生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の人(デスクワーク中心、運動習慣なし)
- レベル II(普通): 座位中心だが、通勤・買い物・家事・軽いスポーツなどを含む人(多くの日本人が該当)
- レベル III(高い): 移動や立位の多い仕事、または余暇で活発な運動習慣がある人
以下が年齢・性別・活動量別の1日あたりたんぱく質目標量(g)です。
男性
| 年齢 | 活動量 I | 活動量 II | 活動量 III |
|---|---|---|---|
| 1〜2歳 | ─ | 31〜48 | ─ |
| 3〜5歳 | ─ | 42〜65 | ─ |
| 6〜7歳 | 44〜68 | 49〜75 | 55〜85 |
| 8〜9歳 | 52〜80 | 60〜93 | 67〜103 |
| 10〜11歳 | 63〜98 | 72〜110 | 80〜123 |
| 12〜14歳 | 75〜115 | 85〜130 | 94〜145 |
| 15〜17歳 | 81〜125 | 91〜140 | 102〜158 |
| 18〜29歳 | 75〜115 | 86〜133 | 99〜153 |
| 30〜49歳 | 75〜115 | 88〜135 | 99〜153 |
| 50〜64歳 | 77〜110 | 91〜130 | 103〜148 |
| 65〜74歳 | 77〜103 | 90〜120 | 103〜138 |
| 75歳以上 | 68〜90 | 79〜105 | ─ |
女性
| 年齢 | 活動量 I | 活動量 II | 活動量 III |
|---|---|---|---|
| 1〜2歳 | ─ | 29〜45 | ─ |
| 3〜5歳 | ─ | 39〜60 | ─ |
| 6〜7歳 | 41〜63 | 46〜70 | 52〜80 |
| 8〜9歳 | 47〜73 | 55〜85 | 62〜95 |
| 10〜11歳 | 60〜93 | 68〜105 | 76〜118 |
| 12〜14歳 | 68〜105 | 78〜120 | 86〜133 |
| 15〜17歳 | 67〜103 | 75〜115 | 83〜128 |
| 18〜29歳 | 57〜88 | 65〜100 | 75〜115 |
| 30〜49歳 | 57〜88 | 67〜103 | 76〜118 |
| 50〜64歳 | 58〜83 | 68〜98 | 79〜113 |
| 65〜74歳 | 58〜78 | 69〜93 | 79〜105 |
| 75歳以上 | 53〜70 | 62〜83 | ─ |
(出典: 厚生労働省「日本人の食事摂取基準 2020年版」)
太字は現役世代。意外と幅広いんですね。
多くの人は「活動量 II(普通)」に該当します。デスクワーク中心でも、通勤で歩いたり、家事をしたり、休日に軽く出かけたりしていれば II です。
毎食22g以上、できれば均等に
ここで大事なのが、「1日の合計だけ見ていてもダメ」という話。
たとえば成人女性(30〜49歳、活動量 II)の目標量は67〜103g。仮に85gを目安にしたとして、これを1日3食で均等に摂るなら、1食あたり約28g。
鶏むね肉半分強であれば、「まぁ、食べられるかな」と思いますか? お米(150gで3.5g)やパン(6枚切り1枚で4.5g)にもたんぱく質は入っているので、おかずと合わせればそこまで難しくはないはずなんですね。
ただ、この量を1食でまとめて摂っても意味がないというのが、見落とされがちなポイントです。
たんぱく質は、24時間カラダの中で合成(新しく作る)と分解を繰り返しています。合成と分解の両方が常に動いているので、3〜4時間おきに新しく摂取することが推奨されているんです。
摂取しないで身体の中にたんぱく質が足りていない状態だと、筋肉などが分解されていく。なので、夕食だけでドカッと摂るのではなく、朝・昼・夜に分散させる必要があるんですね。
理想を書くとこうなります。
| 朝食 | 昼食 | 夕食 | 合計 | |
|---|---|---|---|---|
| 理想配分 | 20〜25g | 25〜30g | 25〜30g | 70〜85g |
夕食を減らす必要はなく、朝食と昼食を底上げするのがポイント。
なぜ「1日3食」が良いとされるのか
余談ですが、「昔は1日2食だったから3食はいらない」という意見を時々聞きます。
確かに日本で1日3食が定着したのは江戸時代頃と言われています。ただ、それ以降、日本人の平均身長は増加しているんですね。3食になったからだとは言い切れませんが、合成と分解のサイクルを考えれば、3食に分けた方が体にとっては自然な気がします。
1日2食にする場合も、食事と食事の間が長く空くので、その間に分解が進みやすい。特に朝食を抜くパターンは要注意です。夕食から翌日の昼食まで、16時間以上たんぱく質が補給されない状態になってしまいます。
90%の女性が、朝にたんぱく質不足
ここで、ちょっと衝撃的なデータを。
早稲田大学の研究によると、日本人女性の約9割が朝食でたんぱく質が足りていないという報告があります。男性でも7割以上が不足している。
朝食でたんぱく質を20g以上摂っている人は、女性で1割、男性で3割以下。
朝からガッツリお肉っていうのは、確かに厳しいものがあります。トーストとコーヒーだけ、おにぎりだけ、ヨーグルトだけ。こういう朝食パターンだと、たんぱく質は3〜8g程度しか摂れていません。
朝食の典型パターンとたんぱく質量
| メニュー | たんぱく質量 |
|---|---|
| トースト1枚+コーヒー | 約4g |
| おにぎり1個+お茶 | 約3g |
| グラノーラ+牛乳 | 約8g |
| 卵1個+トースト+コーヒー | 約10g |
| 目玉焼き+トースト+ヨーグルト | 約13g |
| 鮭+ごはん+味噌汁+納豆 | 約20g |
和定食のような「ちゃんとした朝食」なら20g近く摂れますが、現実的に毎朝これを作れるかというと難しいですよね。
ここで20g以上を確保するには、手間をかけずにたんぱく質を足せる「もう一品」が必要になります。茹で卵、プロテイン入りヨーグルト、納豆、豆腐、そしてスープ。こうした選択肢を常備しておくと、朝のたんぱく質目標はグッと近づきます。
メンタルの安定にも、たんぱく質が関わる
たんぱく質というと「筋肉の材料」というイメージが強いですが、実はそれだけじゃないんですね。
幸せホルモンと呼ばれるセロトニンやドーパミン、これらもたんぱく質(正確にはアミノ酸)から作られます。つまり、たんぱく質不足は、メンタルの不安定さにも繋がる可能性があるということ。
朝スッキリ起きられない。日中に眠気が続く。理由もなくイライラする。こうした症状の一部は、セロトニン不足が関わっていると言われています。
セロトニンの材料になるのはトリプトファンというアミノ酸。これは、たんぱく質を含む食品(肉・魚・大豆・卵・乳製品など)から摂取する必要があります。朝にたんぱく質をしっかり摂ると、日中のセロトニン生成が安定し、夜にはそれがメラトニン(睡眠ホルモン)に変換される。
つまり、朝のたんぱく質は、日中の気分と夜の睡眠の両方に影響しているかもしれないんですね。
もちろん、メンタルの問題は栄養だけで解決するものではありません。ストレスや睡眠、運動、人間関係、全部が関わってくる。でも、食事で整えられる部分は整えておくと、他の要因にも強くなれる気がします。
「食べるのが面倒」を、どう乗り越えるか
ここまで読んで、「理屈はわかったけど、実際に毎朝たんぱく質20g摂るのは大変…」と思った方、正直で嬉しいです。
私も、毎朝きっちり計算して食事を作るのは難しいと思います。特に子育て中や仕事が忙しい時期は、朝の10分がとにかく貴重ですよね。
朝食のたんぱく質を無理なく増やす方法
- 卵を1個足す(+6g)
- ヨーグルトをギリシャヨーグルトに変える(無糖で+6〜8g)
- 豆腐や納豆を1品追加(+8〜10g)
- プロテイン入りのパンやシリアルを選ぶ(+5〜10g)
- たんぱく質の摂れるスープを足す(+10g前後)
全部やる必要はありません。普段の朝食に1〜2品足すだけで、たんぱく質は10〜15g増やせます。
スープは、特に「他の朝食パターンを崩したくない人」に向いています。トーストとコーヒーの横に、スープを1杯。食卓の景色は変わらないまま、たんぱく質だけが増える。
これが、「朝のたんぱく質を手軽に底上げする」という発想です。
→ スープでたんぱく質を摂る合理性について詳しくは「たんぱく質、足りてますか? 「スープで摂る」という発想が合理的な理由」で解説しています。
→ プロテインスープとは何か、普通のスープと何が違うのかは「プロテインスープとは? 普通のスープと何が違うのか、メリット・選び方まで全解説」をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q: たんぱく質を摂りすぎると腎臓に悪いって本当ですか?
健康な成人が通常の食事の範囲でたんぱく質を摂る分には、腎臓への影響はほとんどないとされています。問題になるのは、すでに腎機能に問題がある人が過剰摂取する場合、または1食に極端に大量のたんぱく質を詰め込む場合。1日の推奨量(女性67〜103g、男性75〜135g程度)を3食に分散して摂る分には、心配する必要はないと言われているんですね。
Q: プロテインを飲めば、食事でたんぱく質を摂らなくていいですか?
理想は、食事から摂ること。食事にはたんぱく質以外の栄養素(ビタミン、ミネラル、食物繊維など)も含まれていて、これらがたんぱく質の吸収や活用に関わっています。プロテインは「食事にプラスする補助」として使うのが自然です。特に、朝食で時間がない時、運動後にすぐ栄養を補給したい時など、「食事で補いきれない部分」を埋める役割に向いています。
Q: 高齢になったら、たんぱく質は減らした方がいいですか?
逆です。高齢になると、若い頃と同じ量のたんぱく質を摂っても筋肉になりにくい(同化抵抗性)ことが分かっています。そのため、65歳以上はむしろ意識的に摂る必要があるんですね。厚労省の基準でも、65〜74歳の目標量は成人と同等かそれ以上。特に女性は、骨密度の維持にもたんぱく質が必要です。
Q: ダイエット中でも、たんぱく質は減らさない方がいいですか?
減らさない方がいいです。カロリーを減らすためにたんぱく質まで減らすと、体は筋肉を分解してエネルギーにしてしまいます。結果として基礎代謝が下がり、痩せにくい体になる。ダイエット中は、炭水化物や脂質を調整しつつ、たんぱく質はむしろ増やすのが定石です。筋肉量を維持しながら脂肪を減らせるので、リバウンドもしにくくなります。
Q: 植物性と動物性、どちらのたんぱく質がいいですか?
基本的には、両方バランスよく。動物性(肉・魚・卵・乳製品)は吸収効率が高く、必須アミノ酸のバランスも良い。植物性(大豆・豆類・穀物)は脂質が少なく、食物繊維も一緒に摂れる。片方に偏るより、日々の食事で両方を取り入れる方が栄養バランスは整います。大豆製品は植物性の中では特にたんぱく質の質が高いので、毎日1品は取り入れたい食材です。
まとめ
たんぱく質について、押さえておきたいポイントを3つ。
- 1日の必要量は性別・年齢・活動量で変わる。成人女性なら57〜103g、成人男性なら75〜135gが目安。
- 合計量だけでなく、配分が大事。毎食20〜25gを目安に、できれば均等に。特に朝食が不足しがち。
- たんぱく質は筋肉だけでなく、メンタルや睡眠にも関わる。朝にしっかり摂ると、日中の気分や夜の睡眠にも影響する。
「毎朝ちゃんと作らないと」と気負う必要はありません。今の朝食に1品足すだけで、かなり変わります。
完璧にやろうとせず、「ちょっと足りないな」と思ったらスープや卵を1品足す。そのくらいの温度感で、まず1週間試してみてほしいなぁと思います。
※ 本記事は厚生労働省「日本人の食事摂取基準 2020年版」および各種公開研究データを参照しています。個別の体調や疾患については、必ず医師・管理栄養士にご相談ください。



