先日、お客さんから「20種類のアミノ酸がすべて入ったサプリを飲んでるんだけど、意味あるの?」と質問をもらいました。
EAAやBCAAというのを聞いたことがある人もいると思いますが、代表的なアミノ酸サプリの一種ですね。それ以外にもアミノ酸ドリンクや、ビタミンCやビタミンEのように、20種類のうちの一つのアミノ酸に特化したサプリなども多くあります。
EAAとBCAAってなに?
EAAとは、「Essential Amino Acids(必須アミノ酸)」の略で、体内では合成できない9種類のアミノ酸です。
BCAAは、「Branched Chain Amino Acid(分岐鎖アミノ酸)」の略で、バリン、ロイシン、イソロイシンの3つのアミノ酸のことです。
BCAAは、筋肉中のたんぱく質に含まれる必須アミノ酸のうち約40%を占めており、ボディビルなどハードなトレーニングしている人たちに好まれています。
アミノ酸の効果
その他のアミノ酸の効果として代表的なものは下記となります。
必須アミノ酸
リジン:免疫力向上、コラーゲン生成促進、カルシウム吸収促進
メチオニン:肝機能強化、解毒作用、アレルギー症状緩和
フェニルアラニン:集中力・記憶力向上
トリプトファン:精神安定、睡眠改善、セロトニンの合成
トレオニン:成長促進、脂肪肝予防、免疫力向上
ヒスチジン:貧血予防、成長促進、神経機能維持
非必須アミノ酸
アルギニン:免疫力向上、成長ホルモン分泌促進、血流改善
グルタミン:腸内環境改善、免疫力向上、筋肉疲労回復
システイン:抗酸化作用、美肌効果、解毒作用
チロシン:集中力向上、ストレス軽減
グリシン:睡眠改善、精神安定、コラーゲン生成促進
不足しがちなアミノ酸をとっても意味がない?
上記のような効果を知ると、「じゃあ、美容のためには、リジンを摂ればいいんだ」とか、「睡眠改善のためにはグリシンを摂ればいいんだ」と、それらのサプリを取ろうとする人がいます。
各栄養素に関しては、まだまだわかっていないことだらけなので、それがあっているのかどうかはわかりませんが、一部のアミノ酸だけを摂るのはあまりおすすめしません。
アミノ酸単体で摂っても意味ない?
たんぱく質は、アミノ酸が集まってできたものです。人間の身体には10万種類のたんぱく質があると言われており、それぞれのたんぱく質は、アミノ酸の塊です。
50個のアミノ酸でできたものもあれば、500個のアミノ酸でできたものもあります。また、それぞれにおいて集まっているアミノ酸の数はバラバラで、リジンが多いものもあれば、グリシンが多いものもあります。
前述したようにアミノ酸の効果として、グリシンが睡眠改善の効果があると言われていますが、グリシン単体だけでなく、グリシンとグルタミン、システインが組み合わさるとグルタチオンというペプチドになります。
グルタチオンは強力な抗酸化作用があるので、細胞を保護する役割になったりします。
要するにアミノ酸はそれぞれ単体の機能もあるが、単体以外の役割も併せ持っている存在なんですね。
アミノ酸のバランスが大事
睡眠不足だからといって、グリシンを過剰に摂取することはおすすめできません。グリシンは、睡眠の質を向上させる効果が期待できるアミノ酸ですが、過剰摂取は体に悪影響を及ぼす可能性があります。
厚生労働省は、グリシンの安全な摂取量の上限を1日あたり3gとしています。この量を超えて摂取すると、吐き気や下痢などの消化器系の症状が現れることがあります。
また、グリシンは安全な成分と考えられていますが、妊娠中や授乳中の女性、持病のある方などは、摂取前に医師に相談することが推奨されています。
20種類のアミノ酸はそれぞれ必要とされる量がバラバラです。バラバラなのですが、このバランスが重要だと考えられています。バランスが崩れることで以下のような影響が考えられています。
アミノ酸バランスの乱れによる悪影響
タンパク質合成の効率に影響する:タンパク質は、20種類のアミノ酸が特定の配列で結合してできています。特定のアミノ酸が不足すると、そのアミノ酸が組み込まれるべき場所でタンパク質合成が止まってしまい、効率が低下します。
アミノ酸の代謝:体内では、アミノ酸は互いに変換されたり、エネルギー源として利用されたりします。特定のアミノ酸が過剰にあると、他のアミノ酸の代謝に影響を与え、アンモニアなどの有害物質の生成を増加させる可能性があります。
神経伝達物質の合成:セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質は、特定のアミノ酸から合成されます。これらのアミノ酸のバランスが崩れると、神経伝達物質の合成に影響を与え、精神状態 に影響を与える可能性があります。
免疫機能:免疫細胞の増殖や抗体産生など、免疫機能にも関与しています。アミノ酸バランスの乱れは、免疫機能の低下に繋がる可能性があります。
このように各アミノ酸は、とり過ぎも少なすぎも悪影響につながる可能性があるので、特定のアミノ酸サプリを摂るのは、あまりおすすめしません。
すべてのアミノ酸が入っているサプリ
「じゃあ、20種類全部入っているものを摂ればいいんだね。」と早とちりされた方は、ちょっと待ってください。
1食に必要なたんぱく質量は20〜30gだと言われていますが、当然アミノ酸にも必要量があります。20〜30gのたんぱく質を摂るのは大変だけど、よくあるサプリ(粒(タブレット)や1包のもの)だと気軽にとれると、結構なお値段のサプリを飲んでおられる方がおられます。
しつこいですが、たんぱく質はアミノ酸の塊です。すべてがアミノ酸というわけではありませんが、たんぱく質はアミノ酸と水分でできています。
バラバラのアミノ酸をペプチドや糖鎖、脂質などの成分でくっつけていますが、それらは数gもあるものではありません。
20gのたんぱく質には、16〜18g程度(80~90%)のアミノ酸が入っています。アミノ酸を直接摂るにしても、たんぱく質と同程度のアミノ酸をとる必要があるわけです。
お客さんから伺った全部のアミノ酸が入ったサプリで20g摂るとすると…
プロテインで十分
「じゃあどうすればいいの?」という話ですが、簡単です。プロテイン飲みましょ。
最近のプロテインはよほどのものでない限り、9種類の必須アミノ酸だけでなく非必須アミノ酸も含まれています。ビタミンやミネラルも含まれているものも多くありますね。
プロテインのビタミンやミネラルがどれだけ意味があるのかというのは、以前の記事で書いたので、ここでは述べませんが、個々のアミノ酸を摂るよりも、プロテインであれば効率よくアミノ酸がとれるので、コスパ的にも一石二鳥です。
https://shop.korede.life/blogs/blog/20240525
もちろん、お肉やお魚もアミノ酸スコア100でその他のビタミンやミネラルも含まれているので、理想としては食事でとれるのが一番おすすめです。
まとめ
ということで、長々と書いてきましたが結論は一言です。
アミノ酸は単体でとるよりも、プロテインでとるのがおすすめ!
ちなみに、コラーゲンや酵素ドリンクやアミノ酸サプリは、特定のアミノ酸に偏っている場合があります。アミノ酸サプリを選ぶ際は、バランスの良さを重視してプロテインを買うのがおすすめですよ。